地球温暖化は、Nexus for R で取り上げるすべての社会課題と関係します。温室効果ガスの排出量削減だけでなく、あらゆるアプローチが解決に役立ちます。
ここでは、地球温暖化や気候危機に関するもろもろについて、「本当のところ、これってどうなの?」という素朴な疑問にお答えします。
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01 地球温暖化って何?
地球温暖化は、地球の大気に含まれる温室効果ガスの増加によって、地球全体の気温が上昇する現象です。温室効果ガスは、太陽からの熱が地球の表面に届いた後、その一部を大気中に留めることで、地球の温度を一定に保つ役割を果たしていました。しかし、人間活動によって大気中の温室効果ガスが増加したため、地球の温度上昇が加速しています。

02 温室効果ガスって何?
温室効果ガスは、太陽からの熱の一部を地球の大気中で捕捉し、地球表面の温度を上昇させるガスのことです。これらのガスは、大気中の特定の波長の赤外線を吸収して地球に再放射することで、地球の温度を一定に保つ役割を果たしています。
主な温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、二酸化窒素(N2O)、フロン、代替フロンといった冷媒ガスなどがあります。これらのガスは、自然な地球温室効果によって、地球の気温を適切なレベルに保つのに必要です。
しかし、人間の活動によってこれらの温室効果ガスが増加すると、地球の温度が上昇し、気候変動が進行し得ます。例えば、化石燃料の燃焼や森林伐採などの活動によって大気中のCO2濃度が増加することで、地球温暖化が引き起こされます。また、メタンはCO2の20倍、冷媒ガスは高いもので20,000倍もの温室効果を持ちます。
03 気候危機って何?
気候危機は、地球の気候変動が生態系や人類に与える深刻な影響を指します。これは、化石燃料の燃焼や森林伐採などの人間活動によって大気中の温室効果ガスが増加し、地球の気温が上昇することで引き起こされています。気候危機には、異常気象とそれに伴う自然災害の増加、海面上昇、生物多様性の喪失、食糧危機、水資源の不足など、さまざまな問題が含まれます。
04 そもそも地球温暖化って本当なの?
地球温暖化は本当に起こってるの?
はい、地球温暖化は科学的に確立された現象です。以下に、主な証拠をいくつか挙げます。
- 気温の上昇:過去数十年間の気象観測データから、地球の平均気温が上昇していることが確認されています。これには、陸上、海洋、極地域などさまざまな地域での観測データが含まれます。
- 氷河や氷床の減少:氷河や氷床の減少が観測されており、これによって海面上昇が加速しています。特に、北極や南極の氷が減少していることが注目されています。
- 気候変動パターンの変化:過去数十年間の気象データや気候モデルの解析から、気候変動パターンが変化していることが明らかになっています。極端な気象現象の増加や気候帯の移動などが観測されています。
これらのデータに基づき、国際的な気候変動に関する科学者の組織である、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などの機関も、地球温暖化が現実であり、人間活動がその主な原因であることを示しています。
本当に人間のせいなの?
はい。地球温暖化が人間の活動による影響であることを示す証拠は、以下のようなものがあります
- 温室効果ガスの放出:化石燃料の燃焼や森林伐採などの人間活動により、大気中に温室効果ガスが大量に放出されています。これらのガスは地球の気温上昇に寄与し、地球温暖化の原因の一つとなっています。
- CO2濃度の増加:大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は産業革命以後、急速に上昇しており、これは化石燃料の燃焼などの人間活動によるものです。氷床コアや大気中のCO2濃度の古いデータからも、これが自然変動ではないことが確認されています。

- 気候モデルの予測:気候モデルによるシミュレーションや予測では、人間活動による温室効果ガスの放出が地球温暖化の主要な原因であることが示されています。これらのモデルは、過去の気象データとも整合し、温室効果ガスの影響を正確に再現しています。
これらの証拠から、地球温暖化が人間の活動によるものであることが明らかになっています。IPCCも、2021年の第6次報告書では「人間の影響が大気・海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断定的な表現をしています。
05 地球温暖化ってそんなに大変なことなの?
地球の平均気温が1℃、2℃上がることがどうしてそんなに大事なのだろう? と、疑問に思う人もいるかもしれません。何を大変と考えるかは人それぞれ。ですが、温暖化が進むと、以下のようなさまざまな問題が引き起こされます。
- 熱中症などによる死亡者の増加:2023年夏に欧州35カ国で発生した熱関連の死亡は、4万7千人を超えると推定されていますが、地球温暖化への適応策がとられていなかった場合、この数は最大1.8倍になっていた可能性があります。
- 極端な気象現象:地球温暖化により、豪雨や洪水、干ばつ、ハリケーンなどの異常気象や極端な天候現象が増加します。これらの現象は、農業や水資源管理、都市インフラなどに大きな影響を与え、世界ではすでに年間平均2,000万人以上の人々が家を追われています。
- 海面上昇:氷河や氷床の融解により、海面が上昇します。IPCC第6次報告書では、温暖化が最も小さく抑えられた場合でも、今世紀末までに海面は 0.5〜1m 上昇すると書かれています。ちなみに海面が 1m 上昇した場合、日本では砂浜の 9 割以上が水没し、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌など、低地の都市が浸水被害を受ける危険性があります。
- 生物多様性の喪失:気候変動による生息地の変化や気候パターンの変動により、多くの生物種が生息地を失い、絶滅の危機にさらされています。これは生態系のバランスを崩し、食物連鎖や生態系サービスに影響を与えます。たとえば、農作物の7割を受粉させているとされるミツバチやマルハナバチは、世界中でその減少が問題になっています。
- 食糧安全保障:気候変動による農作物の収穫量や品質への影響が出ます。気温上昇や降水量の変動により、農業生産が減少し、食料供給が不安定になります。日本の調査でも、お米、みかん、ジャガイモなど70品目以上の農作物、そしてサンマ、イカ、アユなど60品目以上の水産物で温暖化の悪影響が出ていることがわかっています。
ちなみに、人間たちがこれまで通りの生活を続けた場合、地球がどれだけ暑くなるかを示したのが下のグラフです。

06 でも世の中、気候危機よりも大事な問題がいっぱいあるよね?
確かに、世界には多くの問題が存在します。貧困、飢餓、紛争、健康問題、教育の格差、人権侵犯など、多くの課題があり、これらは世界中の人々の生活に直接影響を与えています。
しかし、気候変動や環境問題は、こうした他の問題と密接に関連しています。例えば、気候変動は貧困や飢餓を悪化させ、気候変動が引き起こす自然災害は、紛争や難民問題を加速させます。生物多様性の喪失は農業や食料安全保障に影響を与えるとともに、新興感染症流行の引き金となります。
つまり、気候危機対策は、単に自然環境を守るためだけの取り組みではなく、人がより豊かに幸せに生きていける社会をつくっていくために欠くことのできない、重要なピースなのです。
07 で、結局のところ炭素は悪者なの?
いいえ、炭素自体は悪者ではありません。炭素は生命の基本要素であり、私たちの体や、地球上の多くの物質に含まれています。おいしいものにも(甘い果物や野菜など)、綺麗なものにも(草花や野生生物、ダイヤモンドまで)、私たちを驚かせ感動させる、命あるもののすべてに含まれる元素です。
問題は、人間活動によって、多くの炭素が大気中に吐き出されてしまったことです。化石燃料の燃焼や森林伐採などが原因になっていることは、すでにわかっています。これからする必要があるのは、炭素を本来あるべき場所に戻して、大気中の二酸化炭素を、過去80万年間の平均的な濃度に引き戻すことです。
気候危機対策とは、世界の美しさ、ゆたかさを取り戻していくことでもあるのです。