私たちにとって身近で便利なプラスチックは、生活のさまざまな場面で役立っていますが、地球環境を汚染し、人間を含む多くの生き物の健康と生命を脅かしています。国連はプラスチック汚染を、将来に不穏な影を落とす、気候変動に次ぐ脅威だと考えています。
※ 茶色は海外サイトへのリンクです。
知っておきたいこと
数字で知る
- 人類がこれまでに作ったプラスチックは83億トンを超え、そのほとんどが廃棄されてきました。
- プラスチックの生産量は、1950年の150万トンから、2020年の時点で3億7,600万トン近くまで増加しました。特に、全体の50%ものプラスチックが直近の20年間で生産されています。そして、その半分以上が環境中に捨てられています。
- 2014年時点の報告で、日本は一人当たりのプラスチック包装ごみの排出量で、アメリカに次ぐ世界第2位でした。
- プラスチックの製造と焼却による温室効果ガスの排出量は、2015年だけで約17億トンに達しており、この量は2050年までに3倍以上に増えると予測されています。
- プラスチックの寿命についてはまだ科学的な確証がありませんが、500年ほどと推定されています。
- これまでに生産されたプラスチックのうち、実際にリサイクルされたのはわずか 9%に過ぎません。
プラスチックにはどんな問題があるの?
環境汚染
- 有害物質を含んでいる
ほとんどのプラスチックは、原油や天然ガスなどの化石燃料を加熱し、有害な化学物質を加えて作られています。 - 分解されにくい
プラスチックは自然環境では分解されず、バラバラになるだけです。寿命は500年以上と推定され、その間ずっと環境を汚染し続けます。 - 汚染規模が大きい
プラスチック製品の多くは使い捨て製品として作られており、大量に環境中に捨てられています。現在、毎分ごみ収集車1台分のプラスチックが海に流れ込んでいます。
プラスチックは海だけでなく、埋立地、川、土壌、空気にも蓄積されており、食べ物や水を通して私たちの体内にも取り込まれています。
健康リスク
- 生産・廃棄工場周囲の汚染
工場周辺の大気や水の汚染は、無数の健康問題を引き起こします。
この健康被害は、特に低所得国で目立ちます。米国や英国、日本などの高所得国で使われごみになったプラスチックは、リサイクル資材として低所得国に輸送されますが、こうした国々では廃棄物を適切に処理する設備や技術が不足しています。そのため、多くのプラスチックが野外に捨てられるか燃やされるしかなく、有毒な化学物質が放出され、病気や死を引き起こしているのです。 - マイクロプラスチック汚染
プラスチックが小さなマイクロプラスチックやナノプラスチックになると、発がん性や神経毒性を持つ有毒化学物質が土壌、水、食べ物に入り込みます。この汚染は野生動物を死に至らしめ、人間の健康に深刻な影響を与えます。
資源の浪費
プラスチックの生産には石油という限りある資源が使われており、世界の石油使用量に占める割合は年々増え続けています。石油資源は無限ではないため、現在のように新品のプラスチック(バージンプラスチック)に依存した生活は、いつか行き詰まってしまいます。
廃棄物管理の困難さ
多くのプラスチックはリサイクルに適しません。リサイクル可能なものでも、現在の技術では2〜3 回しかリサイクルできません。その結果、大量のプラスチックごみが埋め立てられたり、燃やされたり、環境中に流れ出してしまいます。
マイクロプラスチックって何?
マイクロプラスチックとは、直径が5mm以下の非常に小さなプラスチックの粒や破片のことです。これらは河川や海洋、空気中に排出され、広い範囲で環境汚染を引き起こします。
一次マイクロプラスチック
以下のようなさまざまな製品に含まれます。
- マイクロビーズ
スクラブ入りの洗顔料や歯磨き粉に多く含まれますが、最近はプラスチックの代わりに天然素材を使う商品も増えてきました。 - マイクロカプセル
柔軟剤や香り付き洗剤で使われ、香りを長続きさせる役割を果たします。 - 産業用ペレット
衣類や家電製品などを作る際に使われる小さなプラスチックの粒です。
二次マイクロプラスチック
- プラスチック製品の劣化によるもの
ボトルや袋、漁網などのプラスチック製品が紫外線や熱、摩耗などの刺激により劣化、破砕して細かくなっていきます。 - 衣類の繊維
海洋に流出しているマイクロプラスチックの35%が、合成繊維の衣類から出たマイクロファイバーです。1回の洗濯で70万本以上のマイクロファイバーが流出しています。 - 食器洗いスポンジやクロス
アクリル製のスポンジやメラミンスポンジも、マイクロプラスチックの日常的な発生源です。 - 紙コップ
内側がポリエチレン(プラスチック)でコーティングされているため、熱湯を注ぐとマイクロプラスチックと添加剤である化学物質を放出します。 - ペットボトルやティーバッグ
ペットボトル飲料やティーバッグで淹れたお茶には、大量のマイクロプラスチックが含まれます。
マイクロプラスチックの悪影響
- 環境汚染
海や土壌、川や湖に広がり、広範な環境汚染を引き起こします。 - 生態系の混乱
食物連鎖を通じて広がり、生態系全体に悪影響を及ぼします。魚や貝、鳥などが誤ってマイクロプラスチックを食べると、消化不良や毒素の蓄積に苦しむことになります。 - 人間の健康リスク
汚染された海産物を食べることで、有害物質が人体に蓄積する可能性があリマス。また、血管内やさまざまな臓器からもマイクロプラスチックが検出されており、さまざまな健康リスクが懸念されています。
プラスチックごみを減らすためには何ができるの?
再利用可能な製品を使用する
ペットボトルの代わりにマイボトルを使う、プラスチック袋の代わりに布製のエコバッグを使うなど、再利用できるものを活用します。ただし、環境負荷を本当に減らすためには、これらを何度も使うことが大切です(綿のトートバッグなら131回以上、マイボトルは10~20回以上使う)
使い捨てプラスチックを避ける
使い捨てのストローやカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)を避け、マイカトラリーやマイ容器を持ち歩くようにします。また、プラスチック包装された商品やプラスチック製品(特に使い捨てプラスチック)をなるべく買わないよう心がけます。
量り売りや包装なしでの販売をしているお店、リユース容器を提供しているお店で買い物することも有効です。
リサイクルを徹底する
自治体のホームページなどで分別方法を確認し、リサイクルできるものは資源ごみとして分別します。また、民間のリサイクル活動に参加するのも効果的です。使い終わったプラスチック収納やボトル、合成繊維の衣類などは、店舗での回収プログラムを活用して資源化することで、ごみを減らすだけでなく、バージンプラスチックの使用量も減らせます。
周りの人や地域に働きかける
自分のプラスチック消費を減らすのは前向きな一歩ですが、友人、家族、コミュニティと協力すれば、効果はさらに大きくなります。
たとえば、ごみ捨て場の管理を徹底する、仲間とごみ拾いをする(プロギングやビーチの清掃活動、ダイビング仲間と水中のプラスチックを拾うのもオススメ)、地元や学校などのイベントで、使い捨てプラスチックの使用をやめるよう提案する、屋外ではプラスチックではない素材でできた製品を使うよう働きかける、などの方法があります。
グリーンウォッシュに気を付ける
環境に配慮しているように見せかけているだけで、実態はそうではないことを、「グリーンウォッシュ」(「グリーン」と「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語)といいます。身の回りの商品や広告がグリーンウォッシュでないか、実例を知って見分ける目を育てます。たとえば、「曖昧で意味が広すぎる表現」や「持続可能性に関する主張に具体的な根拠がない場合」などは要注意です。
社会全体で変えていきたいことは?
思い込みをなくす
「使い捨ては衛生的」
「厳重にパッケージされている方が安全」
「包装が豪華なほど品質がいい」
というような印象を持っていませんか? ですが多くの場合、これらは思い込みです。ぜひ一度、目の前のプラスチックが本当に必要かどうかを考えてみてください。そして、必要ないと判断したら、生産者、小売店、消費者がお互い率直にそう表明することが大切です。
ペットボトル依存から抜け出す
国際的な脱プラスチックネットワーク「Break Free from Plastic(BFFP)」が2024年に発表した調査によると、日本を含む41カ国で海岸や河川から回収されたプラスチックごみの中で、最も多くの国で見つかったブランドはザ・コカコーラ・カンパニーでした。同社は6年連続でワースト1位となり、計3万3820個のごみが回収され、最も多かったのはペットボトルでした。この状況を変えるには、使い捨てペットボトルからリユースできる容器へ切り替えたり、水などを給水機で販売することが必要です。
マテリアルリサイクルを推進する
日本の廃プラスチックの有効利用率は8割を超えると言われていますが、その内訳はサーマルリサイクル(焼却に伴う熱回収)が6割を占めており、マテリアルリサイクル(プラスチック製品へのリサイクル)は2割程度です。バージンプラスチックから脱却するには、マテリアルリサイクルをもっと増やす必要があります。そのためには、市民が分別を徹底するだけでなく、拡大責任がある販売者や生産者が回収システムを強化し、リサイクル技術を向上させることや、企業がリサイクルしやすい製品を作ることも重要です。
もっと知る
書籍
『プラスチック汚染とは何か』枝廣淳子/岩波ブックレット
『海洋プラスチック汚染』中嶋亮太/岩波科学ライブラリー
『プラスチックフリー生活』シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ/NHK出版
『ゼロ・ウェイスト・ホームーごみを出さないシンプルな暮らし』ベア・ジョンソン/アノニマ・スタジオ
『暮らしの図鑑 エコな毎日 プラスチックを減らすアイデア75×基礎知識×環境にやさしいモノ選びと暮らし方』中嶋亮太、古賀陽子/翔泳社
日本語サイト
国際連合広報センター やめよう、プラスチック汚染
環境省:Plastic Smart
日本野鳥の会 海洋プラスチックごみ問題 特別連載企画
プラスチック循環利用協会 プラスチックのはてな
プラスチック循環利用協会 パンフレット一覧
アノニマスタジオ ゼロ・ウェイスト・ホームへの道
プラなし生活
サステイナブルに暮らしたい
英語サイト
国連開発計画(UNDP):なぜ私たちはプラスチックをもっとリサイクルしないのか(Why aren’t we recycling more plastic? )
国連 画像:プラスチックは永遠に
映画
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以下は、プラスチック問題を克服するための取り組みです。似たような事例、まったく違う独自の取り組みなどをご存知の方は、是非コメント欄に投稿お願いします! 動画や本などのおすすめ情報も大歓迎です。
※ 特に参考になる書き込みは、後ほどコンテンツ内に反映させていただくことがあります。あらかじめご承知おきください。
解決策リスト
「私」にできること
プラスチックごみの出ない買い物や暮らし方を楽しみます。
- プラなし生活:プラスチックに頼らない生活をはじめるための身近なアクションを紹介
商品選びで脱プラ
お買い物方法で脱プラ
マイボトルで脱プラ
- mymizu:世界20万ヵ所のカフェや公共施設など、無料で給水できる場所を紹介
- Refill Japan:全国に給水スポットを広げる活動や、給水スポットをまとめたマップの公開を実施
- 無印良品:顧客が自由に使える給水機を一部店舗に設置(専用アプリや公式サイトから対応店舗を検索可能)
出てしまったプラスチックはリサイクルします。
ペットボトルの回収ボックスには、ペットボトルのみを正しく分別して入れます。他のごみを入れることは、ごみがあふれ、環境を汚染する原因になります。

Loft GREEN PROJECT
リユースとリサイクルを推進するテラサイクルは、ロフト店頭で取り扱いのある複数のブランドの使用済み空き容器(プラスチック製、アルミ製、ガラス製)を回収・リサイクルするプロジェクトをはじめとした、様々なリサイクルを行なっています。
- 株式会社シード:使い捨てコンタクトレンズの空ケースをリサイクルするプログラムを通じて、海洋プラスチックごみに対応
- HOYA株式会社アイケアカンパニー、クーパービジョン・ジャパン株式会社:使い捨てコンタクトレンズの空ケースの回収・リサイクルを実施
- 第一三共ヘルスケア:2022年10月から神奈川県で使用済みのPTPシート(おくすりシート)を回収・リサイクルする実証実験を開始
どんな製品がマイクロプラスチックを生み出しているかを知り、別の製品への置き換えを検討します。
- 柔軟剤や香り付き洗剤、マイクロビーズ入りのスクラブ洗顔料や歯磨き粉を購入する際には、無香料のものや、天然素材を使った商品を選択
- 衣服を購入する際はなるべく、綿や麻など天然素材のものを選択
- 化学繊維の服を着る場合は、マイクロプラスチックをキャッチする専用の洗濯ネットを使用(グッピーフレンドは、90%以上の繊維が洗濯ネット内に留まり、排水への流出を防止)
- 食器洗いには、セルローススポンジ、へちまたわし、麻たわし、びわこふきんなどの天然素材を使用
- 屋外で使用するプラスチック(洗濯ばさみ、ごみ箱など)は屋外に放置せず、できるだけプラスチック以外の素材のものに変更
生活の場から出るプラスチックごみを減らすために、周囲の人と協力します。
リユース容器を活用する

全国のお祭りやイベントに向けたごみの減量相談・提案や、リユース食器のレンタル・洗浄サービスを提供しています。
- スペースふう:全国のお祭りやイベントにリユース食器を貸出、Jリーグのチームと協力してリユース食器を導入
- Megloo:F1レース会場やフェスイベント、一般飲食店のテイクアウトやWoltのデリバリーフードなどでリユース容器を展開
- Re&Go:カフェをメインにリユース容器を展開
脱プラ製品を選ぶ
- SHIFTON:和紙からできた人工芝やゴールネットを製造、販売する紙総合商社
ごみ拾いをする
- さらに進んだ活動をするのなら、オランダのポイ捨て防止団体 Litterati がマクドナルドにごみを減らすよう圧力をかけた時のように、汚染状況を文書化するのも重要です。
- グリーンバード:様々な地域でごみ拾い活動を展開しており、オープンにボランティアを募集
- ピリカ:SNSを通してごみ拾いの記録を共有したり、ユーザー同士がコメントやイベントを通じて交流できる、ごみ拾い促進のプラットフォーム
それぞれの立場でできること
プラスチック業界への無条件融資をやめます。
銀行と投資家は、自分たちの出資がプラスチック廃棄問題につながっていないかを調査し、その結果を公開する必要があります。プラスチック汚染を引き起こしている事業者に融資する場合は、プラスチックの削減に向けて最大限取り組むことを条件とします。そして最終的には、バージンプラスチック生産者への投資からは撤退します。
公共スペースでのプラスチックの削減とリサイクルを奨励します。
たとえば、給水所の設置は効果的な一歩です。
- 鎌倉:市役所の本庁舎に、マイカップ対応の自動販売機を設置しています。
- パリ:市内全域に1,000 か所以上の無料給水ステーションを設置。人通りの多い場所には、リユースボトルの自動販売機も設置しています。これらの取り組みは、他の百近い都市と協力し、民間企業から水の利用権を取り戻すことで実現しました。
廃棄物ゼロの都市を目指します。
ゼロ・ウェイスト・シティは、廃棄物を完全になくすことを目指し、段階的なシステムを作って実践しています。環境保護団体ガイアの「ごみゼロマスタープラン」が参考になります。
- 徳島県上勝町は、2000年に旧式焼却炉を閉鎖することになったため、住民は、ごみを45品目に分別し、再利用できるものを人から人へ循環させる仕組みを作りました。その結果、ごみは大幅に減り、現在では廃棄物の81%をリサイクルしています(日本の全国的なリサイクル率は約 20%)
- イタリアのカパンノリという町は、ごみを捨てるたびに料金を支払う制度や、包装削減に取り組む小売業者への税制優遇措置を導入し、自治体が運営する再利用センターも設置しました。
自治体の枠を超えて、包括的な海洋ごみ対策プロジェクトを立ち上げます。
- 瀬戸内オーシャンズX:瀬戸内海に面する岡山県、広島県、香川県、愛媛県の4県と日本財団が連携協定し、共同で推めているプロジェクト。瀬戸内海への新たなごみの流入を2025年までに70%減らし、回収量を10%以上増やすことを目標に、調査研究や企業との連携、市民への啓発、教育と政策形成を行っています。
マイクロプラスチックから人々を守ります。
- 自治体の飲料水にマイクロプラスチックが含まれていないか検査し、必要に応じて浄水処理を強化します。
- タイヤの摩耗粒子は、水路に流れ込むマイクロプラスチックの最大の発生源のひとつと考えられているため、月に 2 回道路の清掃を実施します。
- 下水処理後に残るマイクロプラスチックを調べ、それを減らすための処理技術を向上させます。
プラスチックごみの発生を防ぐ方法や、プラスチックを回収、再利用する方法を探ります。
- スズキ:船が走行するだけで水面付近のマイクロプラスチックを回収できる、世界初の船外機用マイクロプラスチック回収装置を開発
- Breaking the Plastic Wave:世界初のモデリングを用いたグローバルな分析。既存の解決策や技術を活用すれば、今後 20 年間で海洋プラスチックの年間流出量を約 80%削減できることを明らかにしました。しかし、残りの 20% を削減するためには、新たな技術革新が必要です。
膨大なプラスチックごみを生み出している、いまのスポーツイベントのあり方を見直します。
国際オリンピック委員会(IOC)と国連環境計画(UNEP)が共同で発表した公式ガイド「プラスチック作戦計画」は、プラスチック汚染の現状と取るべきアクションを教えてくれます。以下は、紹介されているアクションの例です。
- 会場でのペットボトル販売をやめ、給水ポイントを設置。マイボトルの持参を呼びかける。
- プラスチックストローを廃止する。
- 個包装のケチャップやソース類は配布せず、ディスペンサーを用意する。
- リユースカップ・食器や、堆肥化可能な食器でドリンクやフードを提供する。
- やむを得ずプラスチックを使用する場合は、確実にリサイクルできるよう、分別回収箱を適切に設置する。
実際の例としては、スタジアムでリユース容器の導入に取り組んでいる、Jリーグのヴァンフォーレ甲府などが挙げられます。
あなたのアートで人々に行動を促します。
- ベンジャミン・フォン・ウォン:カナダの彫刻家。プラスチックごみが流れ出す、3 階建ての高さにもなる巨大な蛇口をつくった。作品には #TurnOffThePlasticTap(プラスチックの蛇口を閉めろ)というメッセージが込められており、プロジェクトの Web サイトは、訪問者が行動を起こすきっかけを提供する場所として機能しています。
- アレハンドロ・デュラン:メキシコシティのアーティスト。メキシコ最大の自然保護区のひとつ、シアン・カアノネの海岸に打ち上げられたプラスチックごみを使いカラフルなモザイクを制作。プロジェクトを通じて、これらのごみが6 大陸の 58 の国と地域からのものであることを明らかにしました。
- テス・フェリックス:米国のアーティスト。「オーシャン・ヒーロー」シリーズでは、海洋学者のシルビア・アールからローマ法王フランシスコに至るまで、海洋浄化に取り組む活動家や指導者らの肖像画をプラスチックの破片を使って制作しました。
プラスチックフットプリントを特定し、それを開示、追跡します。
企業には、プラスチックフットプリント(事業の過程で使用・廃棄したプラスチックの総量)について明確な削減目標を定め、定期的にその進捗を報告することが求められています。
- プラスチックフットプリントを追跡・削減することには、市場シェアの拡大や資金調達の改善など、様々なメリットがあります。
- サーキュリティクス:エレン・マッカーサー財団のサーキュラリティ測定ツール。プラスチックごみを追跡するだけでなく、企業の事業設計がそれらをどれだけ資源として循環させられているか、測定する。
- BASF:ドイツに本社を構える総合科学会社。自社の全製品のカーボンフットプリントを公開している。
製品や製造プロセスからプラスチックをなくします。
既存の製品を再設計したり、新しい製品を作る際に、バージンプラスチックを使わないようにします。プラスチックのような機能が必要な場合には、代替材料やリサイクルプラスチックを使用します。
- バイオマスレジンホールディングス:コメを原料にしたバイオマスレジン「ライスレジン」で、玩具やスプーン、歯ブラシ、プラスチック袋といった製品づくりを行う
- 株式会社アミカテラ:熊本県の放置竹林の竹等を主原料にしたプラスチック代替素材「modo-cell®(モドセル)」を製造。自然環境下で生分解するストロー・食器・農業用資材等を製品化している。
- 株式会社カネカ:土壌中だけでなく、海水中でも生分解される、100%バイオマス由来の「カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®」を開発。
- サントリー:2022年、国内商品の46%をリサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用したペットボトルに切り替えた。リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用し、2030年までに化石由来原料の新規使用をゼロにすることが目標。
消費者がプラスチックなしの新しい日常を受け入れられるよう手助けします。
- 商品は簡易包装にします。小売店は過剰包装をやめます。また、レジでポリ袋提供の必要性を感じた場合も、買い手の希望を確認するようにしてください。そうした店側のサービスを、半分以上の消費者が過剰だと感じていることが、環境省の2018年の調査でわかっています。
- 容器持参での買い物を奨励します。量り売りや裸売りなど、持参容器で買い物ができるコーナーを設けてください。
メーカーは、リユース容器での商品販売に参加してください。
Loopは、さまざまな日用品や食品をリユース容器で販売し、使用済みの容器を回収・洗浄するシステムを確立しています。
飲食店は、デポジット容器でのテイクアウトを検討してください。
- MeglooやRe&Goに登録することで、地域共有のデポジット容器システムに参加することができます。
- やむをえず使い捨て容器を使う場合は、プラスチックより環境負荷の低いものを選んでください。THE GOOD CUPは、サトウキビの廃棄物などの再生可能な資源を原料に作られたドリンク用カップで、プラスチックを一切使わずに耐水性を実現しています。
政治・法律 Governance
世界規模でのシステム変革を目指します。
過去 20 年間、プラスチックに関する政策は世界中で着実に厳しくなってきました。しかし、現状の取り組みでは、2040年までに海洋プラスチックごみをわずか 7% しか削減できないとされています。その原因は、各国が十分に連携を取れていないことにあります。世界が協力して、包括的かつ協調的な対策を早急に取る必要があります。
- 国連が主導する法的拘束力のある世界条約を支持し、その履行を目指します。2022年春の国連環境総会では、173カ国の指導者がこの世界的条約の策定に同意し、100カ国以上が支持声明を発表しました。国連は、2025年末までにプラスチックの生産から廃棄に至るまでの改革を目指した条約を策定するとしています。
民間の責任に言及してください。
プラスチック汚染をなくすためには、プラスチックのライフサイクル全体にわたる介入が必要です。最初の合理的なステップは、新しいプラスチックの生産を抑えることです。プラスチックの生産量を縮小し、再利用可能な製品を設計することで、使い捨てプラスチックが環境に流出するのを根本から防ぐことができます。
- 日本政府は2024年6月、再生材使用量の目標値や使用実績の報告を企業に義務づける方針を固めました。この改正によって、資源有効利用促進法がより実効性のあるものとなることが望まれます。
- 廃棄物処理の責任を生産者に課します。日本ではすでに、容器リサイクル法のもとで拡大生産者責任(EPR)法が導入されており、生産者は、行政が収集した廃プラスチックをリサイクルする際の費用を負担しています。しかし、この制度で廃プラスチックの回収量やリサイクル量は増えたものの、プラスチック包装の生産抑制や、リサイクルを考慮した製品設計にはつながっていません。今後、一定以上の規模のメーカーに対して、自社包装ごみの回収とリサイクルを義務付けるなど、何らかの新しい工夫が求められます。
- プラスチック規制を進める際には、公平性を重視することが不可欠です。プラスチック規制が、生産業や小売業の下流にいる人々に不公平に大きな負担をかけてはいけません。さまざまな人の権利を尊重するために、アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が掲げる 10 原則を参考にした政策設計が求められます。
廃棄物管理システムを改善します。
政府は、都市や自然環境にすでに存在しているプラスチックを適切に管理し、汚染を防ぐ必要があります。
- ウェイストピッカーの役割を認めます。ウェイストピッカーとは、廃棄された物を収集・分別・リサイクル・販売する非正規労働者のことです。彼らは廃棄物管理に重要な役割を果たしていますが、その貢献は過小評価されています。WIEGO(インフォーマル部門の女性に対する国際組織)のガイドは、こうしたグループを公式に認め、サポートする国々の事例を紹介しています。
- 海洋プラスチック汚染を阻止し、海を浄化します。毎年50万トンから100万トンの商業用漁具が海に放置され、海洋における最大のプラスチック汚染源となっています。世界自然保護基金(WWF)のレポートは、この問題に対する包括的な解決策を示しています。
※ このページはグローバル版NexusのPlasticsを下敷きにしています。
「解決策」の「地方自治体ができること」、についてですが、「リユース容器・食器普及」が挙げられるかと思います。
具体的には、
1)イベント等でのリユース食器普及のため、自治体から貸出や補助(助成金)を行う(飲食店やイベント主催者へ)
2)飲食店や小売がリユース食器・量り売り等を導入する際にかかる費用の一部を補助・助成する
(上記のような分野に自治体が予算をつける)
参考:Meglooさんが、全国の自治体の補助金をまとめています。
https://megloo.jp/2024/07/%E3%83%AA%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%AE%B9%E5%99%A8%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%82%92%E3%81%8A%E5%BE%97%E3%81%AB%EF%BC%81%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BD%93%E5%88%A5%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E9%87%91%E4%B8%80%E8%A6%A7/