食品ロスを8割減らす。
そうすれば、より少ない土地と資源で、よりたくさんの人の空腹を満たせるようになります。
※ 茶色は海外サイトへのリンクです。
知っておきたいこと
数字で知る
- 人のために生産された食料のうち、40%は食べられることがない。
- 日本の食品ロス量は年間約522万トン(2020年度)
- 1人当たりの食品ロス量は1日あたり約114g/年間約42kg(ちなみに、1人当たりの年間の米消費量は51kg)
- これらのうち、約47%が家庭での廃棄。
- 食品廃棄の削減は、地球温暖化を逆転させる解決策の第3位にランクイン(書籍『ドローダウン』より、全100位中の順位)
食品ロスって何?
食品ロスは、本当は食べられるのに、賞味期限が近い、パッケージが破損しているなどのさまざまな理由で、ごみとして廃棄されるものをいいます。廃棄される食品全体を意味する食品廃棄物のうち、食べられない部分(不可食部)を除いた可食部のみを指します。
どうして食品ロスが出るの?
農業での過剰生産
田畑等で栽培、生産されたもののうち、買取価格が低い等の理由で収穫されない作物(未収穫作物)があります。あるいは、収穫されても出荷されずに廃棄されることもあります。これらを、過剰生産と言います。
小売店までの過程で失われる
パッケージの破損したものや規格外品は、小売店で売られることなく廃棄されます。
小売店やレストランで売れなかったり食べ残されたりする
品切れ(欠品)を防ぐために、小売店がメーカーに課している「欠品ペナルティ」は、商品の過剰生産につながっています。
また、品切れとそれに伴う顧客からのクレームや機会損失を避けるための過剰な仕入れや調理も、事業系ロスの一因となっています。
「1/3ルール」のために廃棄される
賞味期間を3段階の期限で分けて、最初の1/3を「納品期限」、次の1/3を「販売期限」とし、それぞれを過ぎたらメーカーは納品できない、小売は販売できないとする商習慣があります。これが「1/3ルール」です。たとえば賞味期限が6ヶ月の食品なら、納品期限は製造してから2ヶ月、販売期限は製造してから4ヶ月となります。
家庭で食べ残される
家庭では、買いすぎにより傷んでしまった食品だけでなく、賞味期限切れの食品が多く廃棄されています。
傷みやすい食品に「安全に食べられる目安」として表示される消費期限に対して、賞味期限は、品質が変わらずに「おいしく食べられる期限」を指します。決して、この期限を過ぎたらすぐに食べられなくなるわけではありません。つまり、「まだ食べられるのに捨てられている食品」がたくさんあるということです。
※2 消費期限も賞味期限も、未開封の状態で、直射日光や高温高湿を避けるなどの適切な保存をしていた場合の安全性やおいしさを約束したものです。開封した食品は、期限に関係なく早めに食べ切って下さい。
食品ロスは何を引き起こすの?
地球温暖化の加速
食品の運搬・焼却時に大量のCO2が発生する
世界の温室効果ガス排出のうち8~10%が、食品の運搬、加工、焼却など、食品ロスに関連していると推定されています(UNEP Food Waste Index Report)。
廃棄食品の埋立時にメタンガスが発生する
ごみが埋立地で処理された場合、メタンガスが発生します。メタンガスはCO2の約25倍の温室効果があると言われています。
天然資源の枯渇と劣化
水やエネルギー資源の浪費
食品廃棄を前提とした過剰な生産は、過剰な水やエネルギー消費を招き、最悪の場合枯渇させます。
土壌の劣化
工業的な農業による作物の量産や過放牧は、土壌を劣化させ、荒廃させるリスクがあります(詳しくは「荒れ果てた土地の再生」のページを参照)。また、大豆生産のためのアマゾン熱帯雨林の伐採のように、過激な開墾も問題になっています。
世界的な食料問題
飢餓や栄養不足
遠く離れた国の食料難は、自分の生活とは無関係に思えるかもしれません。しかし例えば、畜産物は家畜の餌としてたくさんの穀物を必要とします。この穀物を家畜の餌ではなく貧しい国の人々の食料に回せば、多くの人が飢餓から救われます。先進諸国の過剰生産・過剰消費は、交易を通じて、他国の食料事情に大きく影響を及ぼしているのです。
食品生産量の低下
食品ロスにより地球温暖化が進むと、干ばつや水害、気候の変化により農作物の収穫にも影響が及びます。また、エネルギーや水といった資源の枯渇により、生産や加工がこれまで通り行えなくなる可能性もあります。
経済的損失
家計
購入した商品を有効活用できなければ、その分だけ家計の負担は増します。
生産から消費に至るまでの費用
食品が廃棄されると、その食品の生産、加工、流通時に必要とした費用も無駄になります。
ごみ処理費用
廃棄された食品の処理費用もタダではありません。2024年現在、日本の年間ごみ処理費用は2兆円を超えています。
生産者や労働者の時間と手間
食品産業には多くの人が関わっています。それらの人が費やした時間と労力も、食品ロスによって無駄になってしまいます。過剰な生産を減らせば、過重労働から解放された人材が、時間的なゆとりを手に入れたり、他の領域で活躍できる可能性も開かれます。
食品ロスはどうしたら減らせるの?
作りすぎ、買いすぎをやめる
農場や食品メーカーでの過剰生産、小売店や飲食店での過剰な仕入れ、家庭での買いすぎや飲食店での頼みすぎなど、そもそも必要以上に作り、買うことをやめることで、食品ロスを生む大元を断ちます。
食べられる食品を最大限有効活用する
規格外品を販売、加工する
大きさや見た目上の規格を満たしていないなどの理由で、一般に流通せずに捨てられてしまう食品があります。生産者はこうした食品を販路に乗せたり、アップサイクルしたりします。消費者はこれらを購入します。
1/3ルールを見直す
このルールにより、年間400〜500億円分のロスが生じています。
飲食店の売れ残りや期限の迫っている食品を購入する
その日に食べる予定の食品は、積極的に売れ残り品から選びます。
発酵、塩蔵、乾燥、くん製など、昔からの食品保存技術を活用する
しなびた野菜や余った食材も、発酵食品にしたり乾燥させたりといった加工をすることで、長く楽しむことができるようになります。
余っている食品はフードバンクや子ども食堂に寄付する
多過ぎて期限内に食べきれなさそうな食品は、早めに寄付します。
食べられなくなった食品は捨てずに再資源化する
飼料に加工してくれる業者に託す
廃棄された食品を飼料に加工してくれる業者がいます。
コンポストで処理する
コンポストでの堆肥化は、家庭でも事業者でもできる環境負荷の低い方法です。
もっと知る
書籍
『食料危機 ―パンデミック、バッタ、食品ロス』井出留美著/PHP研究所刊
『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』井出留美著/幻冬舎新書
『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』中石和良著/ポプラ新書
『サーキュラーエコノミー実践』安居昭博著/学芸出版社
読む
消費者庁 食品ロス削減ハンドブック(PDF)
JR東日本 SAVE FOODはじめようBOOK (PDF)
GURU+:食品ロスを解消するレシピ・Tips
Yahoo!ニュース オーサー 井出留美
環境省 食品ロスポータルサイト
環境省 食品リサイクル関連|食品ロスの削減・食品廃棄物等の発生抑制
環境省 宴会時の食品ロスを減らす「3010運動」
農林水産省 食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢(PDF)
消費者庁 食品ロス削減について行動する
消費者庁 食品ロス削減関連参考資料(PDF)
消費者庁 地方公共団体の取組事例
消費者庁 民間団体の取組事例
消費者庁_生徒・学生の取組事例
どさんこ愛食食べきり運動(北海道/食育)
スマイル!ひろしま(広島/食品ロス削減キャンペーン)
食べ残しあかんでOSAKA(大阪/食べ残しゼロ推進店の目印)
国連WFP:飢餓のない世界を実現するため、120以上の国と地域に拠点を持ち、飢餓から命を救う緊急支援から、未来を変える開発支援まで、幅広い活動を展開しています。気候変動の影響で飢餓の深刻さが増しています。食品ロスと飢餓との関係の記事は理解を深めるのに役立ちます。
あなたの知識、シェアしてください!
以下は、食品ロスを削減するための取り組みです。似たような事例、まったく違う独自の取り組みなどをご存知の方は、是非コメント欄に投稿お願いします! 動画や本などのおすすめ情報も大歓迎です。
※ 特に参考になる書き込みは、後ほどコンテンツ内に反映させていただくことがあります。あらかじめご承知おきください。
解決策リスト
「私」にできること
買い物でできること
商品は「てまえどり」!
商品棚の奥から新しい日付のものをとってしまうと、手前のものが売れ残ってしまいます。売れ残りの処理コストは、店だけが支払うものではありません。日本では多くの自治体が、事業者で発生した事業系一般廃棄物を、税金も使って焼却処分をしています。賞味期限や消費期限の近い手前の商品を、進んで買うことが大切です。
飲食店の売れ残り、消費期限の迫っている商品を購入
店頭で販売されている売れ残りを買うだけでなく、アプリ、通販サイトなどを活用できます。
規格外の野菜や果物を活用するため、生産者や産直拠点から直接購入
規格外品を生産者から直接購入します。
- ロスヘル:規格外野菜を定期便で届けるサービス
- tabeloop:産地直送のオーガニック野菜や果物、海産物、訳あり品などを販売
- FURIFURU:農家直送の規格外品を無料でもらえるプラットフォーム
- らでぃっしゅぼーや ふぞろいRadish:規格外農畜産物、それを使用した加工品を販売
食品廃棄物をアップサイクルした商品を購入
- CRUST JAPAN:国内工場から出るパンの端材を原料にクラフトビールを製造
- Upcycle by Oisix:廃棄される野菜をアップサイクルしてお菓子などを製造
- 八方良菓:梅酒の梅の実、生八ッ橋、酒かす、おから、レモンの皮など、京都で出た副産物・規格外品を活用したお菓子「京シュトレン」を販売
- ATARA:りんごジュースの搾りかす原料にしたルームスプレーなど、地域の未利用資源をアップサイクルした商品を企画製造・販売
- 株式会社ファーメンステーション:未利用資源を発酵・蒸留して、エタノールや様々な発酵原料を開発・製造。副産物は廃棄せずに鶏・牛の餌に活用し、さらにその鶏糞や牛糞は畑や田んぼの肥料にするなど、ごみを出さないサステナブルな循環を地域コミュニティーと共に構築
- 株式会社艶金:ぶどうの搾りかす、小豆の皮など食品残渣を利用して染色する「のこり染め」の商品を製造
- バイオマスレジンホールディングス:古米、破砕米など、飼料にもならず廃棄されてしまうお米を原料に、プラスチックを製造
- おやさいクレヨン:廃棄野菜と米油などを原料に、口に入れても大丈夫なクレヨンにアップサイクル
- おから:おからの「食用」での利用はわずか1%のみ。おから由来のドーナツ、ビスケット、おからパウダーなどを複数のメーカーが製造・販売しています
家庭の中でできること
無駄な買物を減らす工夫
生鮮食品を小まめに買う。数日分の献立の計画を立てる。買い物の前に冷蔵庫内をチェックするなどの習慣をつけます。
食品が痛む前に食べ切る工夫
食品の保存には中身の見える透明な容器を使うと、冷蔵庫にあるものが楽に把握できます。
冷蔵庫内の設定温度をチェック!
冷蔵庫は4°C以下、冷凍庫はマイナス12°C以下に設定するのが、品質管理上のオススメです。
食品保存の技術をフル活用
発酵、塩蔵、乾燥、くん製など、古来からの食品保存技術を活かします。
食べられなくなった食品だけを処分
賞味期限は短めに設定されています。日本では、本来の期限の2割、もしくはそれ以上に短くなっていることも多くあります。賞味期限を過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。五感を使って判断するのが大切です。
フードバンクに寄付
家庭で余ってしまった食品を集める「フードドライブ」の取り組みが各地で広がっています。
- セカンド・ハーベストジャパン:余剰食品を引き取り、必要な人へ届ける認定NPO法人。個人からの食料品の寄贈も受け付けている。
- おてらおやつクラブ:お供えものを仏さまのお下がりとしておすそわけする取り組み。全国1900以上のお寺が賛同し、協力している。
- ファミマフードドライブ:全国46都道府県、2000以上の店舗でフードドライブを展開。
外食でできること
外食では食べきれる量を注文
量が多い方が安上がりなときも欲張らず、食べ切れる分だけを注文します。
持ち帰り用容器を持参
農林水産省と環境省は、食品ロス削減のため、飲食店で食べきれなかった料理を利用客が自己責任で持ち帰る「mottECO(モッテコ)」というドギーバッグの普及を推進しています。
食べた後にできること
生ごみを捨てずに堆肥(コンポスト)を使う。
ダンボール堆肥、キエーロ、バッグ型のLFCコンポストなど、さまざまな方法があります。日本の60%以上の自治体では、家庭用生ごみ処理機やコンポストの機械を個人が購入する場合、半額を助成してくれる助成金制度を設けています。(詳しくは「堆肥化(コンポスト)」のページを参照)
作りすぎない
収穫を最適化
最適化とは、過剰生産を避けるため、生産量と収穫量を一致させること。具体的には、契約構造の転換、生産物の遠隔モニタリングや、生産者と小売業者間のデータ共有などです。
- 「アグリノート」:ウォーターセル株式会社が運営する、パソコンやスマートフォンを用いて、圃場や農作業など営農に関するさまざまな情報を記録・集計・出力できる営農支援ツール
捨てない
消費者に直接販売する
サプライチェーンを短くし、輸送中や梱包中の腐敗を減らすには、地元のコミュニティ(地元の朝市、道の駅、マーケットなど)で消費者に直接販売することが役立ちます。直営サイトを運営する農家も増えています。
作り過ぎた作物を地元のフードバンクやこども食堂への寄付。
公益財団法人日本フードバンク連盟や一般社団法人全国フードバンク推進協議会の情報が参考になります。
- StockBase:賞味期限の近い備蓄食やノベルティを必要とする団体へ寄付するためのプラットフォーム
再資源化する
地域の資源循環に参加する。
家庭やスーパー、ホテル等から出た生ごみを堆肥化し、農地に還元する資源循環の取り組みが各地で広がっています。
- 栃木県益子町では、家庭や事業所から出される生ごみを収集し堆肥化。出来上がった堆肥は地域で活用されています。
- 熊本県の黒川温泉では、地域の旅館で出る生ごみなどを堆肥化し、地域の農家その堆肥で育てた野菜を温泉で提供するという循環の仕組みが確立しています。
- 農家と消費者が地域で支え合う「CSA(地域支援農業)」の仕組みづくりも必要です。
捨てない
廃棄になってしまう不良品を再利用する。
賞味期限を見直す。
「1/3ルール」を見直す。
年間400〜500億円にも上る、大量のロスを生み出しています。
周囲を動かす
大手食品メーカーには、自社の行動を変えるだけではなく、社会的な潮流を生み出すことが求められます。その責任を果たすために、小売店、消費者の意識を向上させる活動を行います。
- 10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ:世界の大手小売業等10社が、食品メーカーとともに食品廃棄物の半減に取り組む国際的な枠組み。日本からは、味の素、森永乳業、サントリー、山崎製パンなどが参加しています。
仕入れすぎない
自社のサプライチェーンにおける削減目標を設定することが必要です。
- 株式会社ローソンは、2018年比で2030年までに50%削減、2050年までに100%削減を目標に、食品ロスの削減に取り組んでいます。
- イオングループは、2015年比で2025年までに50%削減を目標に、食品ロスの削減に取り組んでいます。
欠品ペナルティを見直す。
品切れ(欠品)を防ぐために、小売業や製造業がメーカーに課している「欠品ペナルティ」が、事業系ロスの一因となっています。これは、過剰生産と食品ロスにつながり、メーカーのコスト負担も増やしてしまいます。
顧客からのクレームを避けるための過剰な仕入れをやめる。
捨てない
「1/3ルール」を見直す。
メーカー、小売、消費者の3者が賞味期間を「3分の1」ずつ分け合う商習慣が多くの食品ロスを生んでいます。
食べられるものを捨てることをやめる。
食品ロスを削減するための、さまざまな取り組みがあります。
- 京都市の量り売りスーパー斗々屋は、店頭で売り、残った食材はレストランで調理して提供、さらに真空の瓶詰めで販売する「三毛作」で売り切り、残渣は農家に引き取ってもらい堆肥化。食品も容器包装も廃棄ゼロを実現しています。
- 広島県のブーランジェリー・ドリアンは、パンの種類を絞り、個人への予約販売や、レストランへの法人販売で廃棄ゼロを実現する「捨てないパン屋」として知られています。
知ってもらう
賞味期限について消費者を啓発する。
期限が近づいた商品は価格を下げて売り切ります。
- 高知県からスタートしたもぐもぐチャレンジは、賞味期限・消費期限が迫った商品に目印となるキャラクターのシールを貼り、消費者とともに食品ロスを削減する取り組み。全国に広がっており、小売店は導入可能。
野菜や果物の見た目を重視することを止め、形の悪い生産物を購入するよう、消費者を促します。
循環させる
販売できないすべての食品を有効活用します。
他の組織に販売
- NPO法人日本もったいない食品センター:廃棄予定の飲料や食品を有償または無償で引き取り、賞味期限に関係なく、安全かつ美味しく食べられる食品のみを店舗に陳列・販売する、食品ロス削減ショップecoeatを運営しています。
- +PLUS FOOD:余剰商品の宣伝ができる、札幌のフードシェアリングサービス
寄付
- 公益財団法人日本フードバンク連盟、一般社団法人全国フードバンク推進協議会、むすびえの情報が参考になります。
飼料化・堆肥化
- ビオ・あつみ:「ごみゼロ」をコンセプトにした愛知県のスーパー。食材のロスを、契約農家の飼料や自社農場の堆肥に使用しています。
- 生ごみゼロプラットフォーム:さまざまな組織が関わり、すべての生ごみが資源として活かされる持続可能な社会を目指すプラットフォーム
把握する
食品廃棄物を計測し、量を把握します。
どの段階で食品廃棄物が発生するかを特定します。
購入、保管、調理残渣、食べ残しなど、段階ごとの廃棄量を知り、習慣を見直します。
- 購入量を減らしたり、配膳量を調整したりします。
- フーズチャネルの記事「飲食店が食品ロス対策をする方法・メリット・成功事例」が参考になります。
- 冷凍技術で食品ロスに取り組む冷凍機メーカーもあります。
売り切る
売り切るための販路を開拓します。
食品ロスに悩む飲食店と消費者をマッチングするアプリTABETEなどの選択肢があります。
資源化する
食品廃棄物を捨てずに堆肥(コンポスト)にします。
店舗で堆肥化して農家へ還元する方法や、飼料用に回収している業者へ渡す方法があります。
収穫後の作物管理の改善を支援する。
途上国における食料廃棄は、家庭よりも農場に近いところで発生します。収穫後の作物管理が適切に行われていないからです。改善のためには、インフラの整備と農業従事者のトレーニングが必要とされています。
- 地域の食品廃棄物について対処するアイデアを持っているのに、資本が不足していて実践できない組織や企業に投資してください。
YieldWise:ロックフェラー財団による途上国の農家の支援。ポストハーベスト技術、貯蔵および加工設備、市場へのアクセスを得るのに役立ちます。
政治・法律 Governance
世界の動き
各国で食品廃棄禁止の法制化、削減の取り組みが進んでいます。
- 米国マサチューセッツ州:2014 年、食品廃棄物を商業的に禁止する最初の州になりました。1週間に1トン以上の食品廃棄物を出す企業は、フードバンクへの寄付やバイオガス製造のための原料として提供するなど、廃棄以外の方法をとらなければいけません。禁止以来、州全体の食料寄付は22%増加し、バイオガス製造と堆肥化の原料は70%増加しました。
- フランス:2016年、罰則を伴う「食品廃棄禁止法」が成立。大型のスーパーに対して、売れ残った食品を廃棄することが禁止されました。
- オーストラリア:2018 年、 2030 年までに食品廃棄物を半減するという目標を設定した最初の国となりました。食料援助団体を支援するために 120 万豪ドルを投資しています。
日本政府・自治体の動き
日本政府は、食品関連事業者および家庭から排出される食品ロスを、2000年度比で2030年度までに半減する目標を掲げています。
食品廃棄物の再生利用については、2024年までに食品製造業で95%、食品卸売業で75%、食品小売業で 60%、外食産業で50%の達成を目標としています。食品製造業ではかなり進んでいますが、それ以外の業種では製造業に比べて数値が低くなっています。
- 食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法):2019年に成立。国や地方自治体に具体的な削減計画を策定することを求めています。食品ロスを排出する企業にも削減への取り組みを求めていますが、いずれも努力義務に留まり、強制力はありません。
- 食品ロス削減に向けた取組の加速化について:2022年に政府から出された通達。納品期限の見直し(1/3ルールの緩和)、賞味期限の年月表示、適量仕入・売り切り等の実施、フードバンクやこども食堂への寄付等の取り組みを促進するよう求めています。
求められる施策
食品ロスの削減目標設定を義務化します。
最初の5年間で食品ロスの50%を削減することを義務付け、最終的には食品製造副産物(おから、ビールの搾りかすなど、食品製造時に発生する副産物)を含むすべての廃棄物をなくすことを目標にします。
- 現状でも業界ごとに削減目標は設定されており、食品廃棄物を100トン以上発生している食品関連事業者は政府への報告義務を負っていますが、これらは限定的です。また公開に関しては義務ではありません。より多くの主体に削減目標設定・報告・公開を求めることが必要です。
- 日本では、立場上甚大なバイイングパワー(販売力)をもっている小売業界が、メーカーへ欠品禁止や「1/3ルール」などを課すために、多くの食品ロスを生んでいます。政府は、この商習慣を緩和する動きを加速させる必要があります。
- 余剰食品を市民団体やNGOに優先的に再分配するため、補助金などの財政的支援を用いること、認証制度を導入することも期待されます。
この記事へのコメントはありません。